誰がヴァイオリンを殺したか

誰がヴァイオリンを殺したか

誰がヴァイオリンを殺したか

18世紀の音楽と現代の音楽がどれほど変わってしまったかを熱く語っている。
冒頭で紹介されているウジェーヌ・イザイというヴァイオリニストのCDが聞きたくてしょうがない。
1912年録音のSPレコードの復刻版で音はよくないようだが、『そこから流れる音は、いまの多くの人にとって、この世のものとも思えない音なのである。』なのだそうだ。著者にとって現代のヴァイオリンは『ギスギスと鳴り、人の心に喜びや潤いを与えない。』ものでしかなく、ヴァイオリンはもはや死んでいると思えるのだそうだ。ヴァイオリンはかつて悪魔の楽器として人の心を惑わす力を持っていた。名ヴァイオリニストとして有名なパガニーニは悪魔だという噂を立てられ死後お墓に入れるのを拒否されていたそうだ。それほど人の心を捉えたのだろう。

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ヴァイオリンに限らずほとんどの楽器は現在の形になるまでいろいろ改良されてきている。自分が演奏していたホルンにしても、ベートーベンの時代とはまったく違うものになっている。しかし、その改良された楽器を使ってベートーベンの作曲した曲を演奏した。改良されているので音階も変えやすいし、大きな音も出る。しかし、それがベートーベンの望んだ音かは知る由もない。現在のヴァイオリンは金属の弦が張られているが、それはより大きな音を出すための改良だった。しかし、そのためにやわらかく繊細な音を捨ててしまったとしたら・・・。
とにかく、イザイの演奏が聞いてみたーい。